第一話:波乱の幕開け
オタク、という言葉をご存知だろうか。
その言葉の意味するところは、『なにかアニメ漫画小説ゲームのことを周りがどっ引くほど知っている人間』だと世間一般的には思われている。
本格的にヤバイ『オタク』だとやけに露出が高い美少女フィギュアが部屋中に置かれている、というのも世間一般的常識である。
私はそういう人たちの存在とその多さを知りながら、『自分には関係ない』と思っていた。
まあ、それは大きな間違いだったということは後に発覚することになるだろうとは―――
そのときは思ってなかった。
本当に、あのときの自分を笑いたい、ていうか今も笑ってる。
自分の席の後ろに座っているのが「そういう人」だったことに気付いたからだ。
私の名は
一般的な女子中学生のルックスを持ち、成績はそう悪くない……と思いたい。
髪の長さはショート。 目下の悩みはゴールデンウィークの金の使い道。
ようやく学校生活に慣れてきて、とりあえず一安心という四月下旬。
ことは、私にもクラスのみんなにも知らないうちに起こっていた。
やたら大きなグランドを走るのは疲れる、とっても。
テニス部に所属する私は基礎練習、いわゆる『基礎練』で何周も何周も走らされていた。
指示を出したのは憎き顧問。 やめさせようとした先輩達は後ろで縮こまっている。
ついさっき、こう説教されたからだ。
「基礎練はなァ、とっても大切なモンなんだぞ!?」
「こうやって下級生に下地を作るチャンスをやるのが先輩ってモンなんだろ!?」
「新人は上に逆らっちゃいけねぇってことを教えてやるんだぞ!?」
イジメじゃん。
だが、マジな様子で怒鳴り散らす
その後、私の一年間をブチ壊すような同級生との接点が生まれることとなる。